『 Friend 』

脚本版



タイトル

  『Friend』フレンド 〜はじまりのはじまり〜

キャスト

  ・鈴木亜希子(スズキ先生)
  ・畑 俊彦 

  ・森下 空


  畑、18歳。 2年浪人中(大学入学は18歳)
  亜希子、大卒。+2年トラック24歳。⇒大学院4年、28歳。先生になる。畑大学3年の時。

  高校
  畑、大学入学の夏、18歳。亜希子24歳。トラック運転手〜受験。
  畑、大学2年生の夏、19歳。亜希子25歳。大学院1年。
  畑、大学2年生の夏、20歳。亜希子26歳。大学院2年。
  畑、大学2年生の夏、21歳。亜希子27歳。大学院3年。
  畑、大学3年生の夏、22歳。亜希子28歳。大学院4年生。
  畑、大学4年生の夏に23歳卒業。初&ラストフライト。大学院5年生+顧問。
  空、2年生。本編   亜希子28歳。教諭。
  空、3年生。
  空、4年生。畑26歳。亜希子30歳。この年。ラストシーン。




   ***

 *トラックに乗っている鈴木亜希子。
 *畑は微妙に広島弁。

亜希子(N)
 「いつものトラックで、国道を走っていた。
  北海道の道はまっすぐに伸びている。
  5月の空は青くて、高く清んでいて、心地良かった。
  だから、覚えているのかもしれない。
  年下の彼との出会いの日を」

 *走っているトラックが速度を少しだけ落とす。
亜希子「なにあれ? あぁ、なるほど。珍しいわね」
 *ハザードランプを点して、ブレーキをかける。
 *ドアを開ける音がする。

畑「いいの?」
亜「乗れば?どこまで?」
畑「よいしょっと」
 *ドアを閉めて
畑「道南大学」
亜「大学?」
 *ハザードを消して、エンジンを吹かし始動する。
畑「とりあえず、この道まっすぐ」
亜「あぁ、あそこね」
畑「……」
亜「……」
畑&亜「珍しいね」 「珍しいわね」
畑&亜『なにが?』
畑「女がトラック運転手とか」
亜「知らないだけよ。意外と多いわよ。タバコすっていい?」
畑「あんたの車じゃけぇ。そっちはなにが?」
 *ライターの金属音+コトリ置く音+窓の自動音少し
亜「あの、あれ、ハイジャックじゃなくて……」
畑「あ〜、うん、ハイジャックね」
亜「じゃなくて、なんだっけ?」
畑「動くな!このトラックは占拠した!ってやったほうがええ?」
亜「じゃあ、止める?」
畑「出せ」
亜「出してる」
畑「ヒッチハイク」
亜「そうそれ」
畑「脳みそ死にかけとるよ?おばさん」
亜「おばさんってなによ、いくつにみえる?」
畑「にじゅ、う、よんとか?」
亜「なんで当てるのよ。もう少し若く見積もんなさいよ」
畑「え?マジで?」
亜「そんなもんよね」
畑「あたったけぇ、なんかちょうだい?おねえさま」
亜「あんた調子いいわね」
畑「テキトー。」
亜「じゃあ、ん。一本吸えば?」
畑「ん、ありがと」
亜「あんたいくつ?」
畑「俺?18」
亜「はい、ぼっしゅーぼっしゅー、返しな」
畑「ちぇー」
亜「吸ったことあんの?」
畑「ないよ。俺いい子だから」
亜「いつやめたの?」
畑「15とか?高校入ったからやめた」
亜「頭パァんなるわよ」
畑「大丈夫、これ以上ネジはずれねぇから」
亜「あっそ」
畑「……」
亜「……」
畑「あのさ、この道よく通る?」
亜「なんで?」
畑「また乗せてよ」
亜「別にいいけど? あんた、名前は?」
畑「はたけとしひこ」
亜「ふぅ〜ん」
畑「じゃ、また今度見つけたら、ハイジャックするよ」
亜「うるさいわよ、おこちゃまはキャラメルでも食ってなよ、ん」
 *キャラメルの箱を軽く投げ渡す。ポサッという音。
畑「ありがと」


亜希子(N)
「アタシが24で。彼が18で。今から9年前。
 それがアタシたちの出会いだった」



亜希子 タイトルコール 『Friend』フレンド 〜はじまりのはじまり〜 第1話


 *音楽が流れる教員研究室(先生の個室)
 *ノックをして、空が入ってくる。
亜「……」
 *ノックをする音
空「……」
 *ノックをする音
空「せーんせー、はいるよ〜」
亜「はーい、どーぞー」
 *空が入ってくる
 *近くの椅子にどっかりと座る
空「論文書いてた?」
亜「え?」
空「論文?」
亜「あー、これ?」
空「ううん、その曲」
亜「これ?」
空「うん、そのCDかけてるとき、先生論文書いてない?」
亜「そうかな?」
空「ちがった?」
亜「わかんない」
空「なにしてたの?」
亜「これ?」
空「うん」
亜「これね、論文を書き終わったので、提出しますっていう、書類のために提出する書類のために提出する書類」
空「めんどくさそー」
亜「そうでもないわよ?慣れれば平気」
空「3年も先生やってたらなれちゃうか?」
亜「うん、そういうもんよ。院生のころから数えたら、8年?」
空「そーゆーもんかぁ」
亜「よしっと」
 *書類をトントンとまとめて、置く。
亜「空ちゃんどうしたの?」
空「あ、えっと、最終テストフライト予定決まったから」
亜「慶太くんが?」
空「うん」
亜「大丈夫なの?」
空「うん。調整うまくいったみたい」
亜「いつがいい?」
空「来週中のーどこかがいいって」(カレンダーを左から右に指差す感じで)
亜「じゃあ、教務課に聞いとく」
空「ありがと……それとね」
亜「どうかした?」
空「部長の件なんだけど、夏の大会前に交代、済ませちゃおうかと思って」
亜「大会前に?」
空「うん。プラットホームから飛び立った瞬間には、来年が始まるから……だから」
亜「そうね。……で、やっぱり」
空「慶太しかいないと思うから。だから、ちょっとだけ早いほうがいいと思って」
亜「そっか」
空「うん」
亜「なら、来週の日曜日、カレーにしてもらうってのはどう?みんなでつくろ?」
空「テストフライトの時じゃなくて?」
亜「みんなが集まる理由なら、そっちのほうが空らしいんじゃない?」
空「……先生。」
亜「おとうさんにも相談してごらん?」
空「うん。そうする」
亜「空も、もう4年生なんだね」
空「うん」
亜「……」
空「……」
亜「……」
空「先生、ありがと」
亜「ばーか、まだ早いわよ」
空「ごめん。じゃあ、お父様に連絡してみます。
  それから、グランド許可もらえたら教えて」
亜「はーい」
空「しつれいしましたー」
 *空がドアを閉める


亜希子(N)
  「はじめての世代交代。
  考えてみれば、空ちゃんも2年生から4年生の今日まで部長としてがんばってきた。
  きっかけは、私にとっても、あの子にとっても……。
  研究室から見上げた窓の向こうは、もう夏の空に変わっていた。
  あの子のはじまりも、そういえばアイツだった」


 *つづく*